Youtubeで「回路図のない直流安定化電源DIYキット #2 解析&製作編」という動画を見ました。製作者は工夫して基板を読み取り、回路図をLTspice上で再現して解析を行っています。安定化電源をLTspiceで解析していることに、とても興味をそそられます。それを実際の回路で試すのも楽しそうです。
そこで、いつものAliexpressで探してポチっとしました。送料込みでも¥500円しないので、色々と遊ぶには良い教材です。
調査
買ったキットの到着まで半月からひと月はかかるので、それまでGoogleで事前調査をしておこうと思って調べ始めました。
ランダムにGoogle検索をしていると、さまざまな記事やフォーラムでの投稿が見つけられます。それらを拾い読みしているうちに全体像が見えてきました。回路に問題があるようで、長い年月の間にネット上の色々な場所で何度も繰り返し議論されています。中国のコピーキットがとてもリーズナブルなこととや有名な電子工作フォーラムで取り上げられたことが、問題があるにも関わらず人気の理由のようです。
元ネタは”Electronics-Lab.com Community”で取り上げられており、1978年の雑誌記事らしいです。 12MBと巨大なファイルですが、次のURLの41ページに載っています。
https://americanradiohistory.com/Archive-Practical-Electronics/70s/Practical-Electronics-1978-10.pdf
その後ギリシャの会社がキット化し、中国でコピーされた経緯のようです。中国品の部品構成はギリシャのオリジナルから少し変更されています。商品説明によれば(それが真実ならば)、私がAliexpressで購入したモノもギリシャのオリジナルと回路は同じで部品がちょっと違うはずです。
ためになったスレッド
仕様
回路図(オリジナル、中国コピー)
以下の回路説明はブログカードを貼った"QUALITY ADJUSTABLE DC REGULATED LINEAR POWER SUPPLY 0-30V AND 0-3A"から引用しました。
ポテンショメータ P1 により、出力電圧を 0V ~ 30V の範囲で設定できます。出力電圧を 0V に調整するには、グランドに対して負の電圧を供給する必要があります。R3 と D7 の間は、グランドに対して -5.1V の負電圧になっています。この負の電圧は、要素 R2、C2、D5、D6、C3、R3 およびツェナー ダイオード D7 によって得られます。このユニットの電源をオン/オフする際の制御不能な状況を回避するために、トランジスタ Q1 が使用されています。トランジスタ Q1 は、周囲の要素とともに保護回路を形成します。オフの短い期間 (-5.1V の負電圧がゼロに上昇する間) に、トランジスタ Q1 は電圧出力をオフに切り替え、出力端子に電圧は存在しません。この興味深いソリューションは、24V の AC 入力電圧が何らかの理由で低下した場合、デバイスの出力端子の電圧を遮断し、この PSU に接続されたデバイスを自動的に保護します。通常の動作中、トランジスタ Q1 のベースを通る抵抗 R14 が負の電圧に保持されるため、トランジスタ Q1 は非導通です。しかし、負の電圧が下がり始めると、トランジスタ Q1 が導通します (抵抗 R13 を介したベースの正の電圧のため)。したがって、U2の出力をグランドに接続し、トランジスタQ2をロックするため、Q4を介して出力電圧をシャットダウンします。集積回路 U2 は、その出力に独自の内部短絡保護を備えているため、この操作は何の影響もなく通過します。このソリューションは、PSU の出力電圧端子が大きなコンデンサの放電を待たずにオフに切り替えられるため、非常に重要かつ独創的です。ポテンショメータ P2 を調整すると、デバイス端子の最大出力電流を設定できます。このようにして、デバイスは出力端子の短絡から保護されます。出力電流は 2mA から 3A の範囲で設定できます。つまり、このユニットは、2mA から 3A まで調整できる定電流モード (電圧の高さに関係なく) で動作できることを意味します。この機能は、電子工学実験室で非常に役立ちます。電流の制限は、出力端子に接続された負荷と直列に接続された抵抗 R7 の電圧降下によって可能です。U3がこの機能を担当する。反転入力で、U3 は R7 の両端の電圧を、U3 の非反転入力で P2 によって設定された電圧と比較します。R7の両端の電圧が 出力電流が高くなると、P2 に設定された電圧よりも大きくなり、U3 が動作して電流が制限され、デバイス全体が定電流状態になり、出力電流が一定に維持され、プリセットが可能なほど正確になります。電流制限を 2 mA まで下げることができます。その定電流領域では、トランジスタ Q3 が導通し、LED D12 が点灯して信号を送ります。コンデンサ C8 は、回路の安定性を高めるために存在します。トランジスタ Q3 は、リミッタの動作を視覚的に示すために、電流リミッタがアクティブになるたびに LED を駆動するために使用されます。出力電流を一定に維持し、電流制限を 2 mA という低い値に事前設定できるほど正確です。トリマ RV1 と抵抗 R10 は出力電圧制限の調整に使用されるため、回路内の他のコンポーネントの許容値に関係なく、出力電圧を 0 V まで下げることができます。出力端子での 50Hz からの電圧リップルは非常に小さく、低出力電流では目立ちません。より高い出力電流での電圧リップルを減らすために、より大きな容量の別の電解コンデンサをコンデンサ C1 に並列に追加することができます (例: 4700μF / 50 V) が、それほど必要ではありません。出力トランジスタ Q4 は、特に出力電圧が低く、出力電流が高い場合に、かなりの熱を放散するため、大型のアルミニウム ヒートシンクに取り付ける必要があります。約 33 ボルトの DC 入力電圧 (ブリッジ整流器とコンデンサ C1 の後) とデバイス出力端子の出力電圧の差に、出力電流のサイズを掛けた値が、トランジスタ Q4 で熱に変換されます。これが、出力電圧が低く出力電流が高いほど、Q4 がより多くの熱を放散する理由です。以下は、トランジスタ Q4 の消費電力に関する計算です。
問題点
- このオペアンプTL081では入力仕様の24V ACに耐えられない(30V出力はできない)
- 電源のon/off時に出力にスパイク状の高電圧が発生することがあり、負荷の試料を壊す恐れがある
といった問題のようです。
キットのオペアンプTL081を使うなら、トランスは24Vよりも低電圧にして、出力は30Vまで上げない使い方になります。それでも2番目の問題は起こります。2番目の問題はオリジナルの回路の問題らしいです。
この回路は最大電流が 4.24A であると想定されているため、24VAC/3A にトランスでは過負荷になります。24V トランスは低電流負荷の場合、おそらく 26V 以上になるので、その時のピーク電圧は 36.8V になります。回路の整流器を通すと 電圧は+35.4V に落ちます。オペアンプは-5.1Vの負電源も使用するため、合計電圧は35.4V + 5.1V = 40.5Vですが、TL081オペアンプの絶対最大電源はわずか36Vです。いずれにせよ、24V トランスの電圧は、このプロジェクトが 30VDCで3Aを生成するには低すぎます。引用元:EEVblog Electronics Community Forum Banggood PSU Enhancements
2番目のスパイク電圧の問題は回路の本質的な問題のようです。電源をon/offすることが原因です。メカニズムに関する投稿がElectronics-Lab.com にありました。CVモードでの発生はなく、CCモードで発生です。
PSU の電圧スパイクの問題について解説したいと思います。この問題を理解できていない方のため説明します。
たとえば、負荷として 5v 100mA 電球を使用する場合、電流ポテンシオを最大に設定して電圧ポテンシオを 5v に設定することは問題ありません。主電源をオフにします。電圧はポテンシオの物理的な位置によって制御されるため、スパイクはなく、正常に減衰(0Vになる)します。
しかし、同じ電球を使用しても、電圧を最大で電流を100mA に設定してから、主電源のスイッチを切ると、状況は大きく異なります。電流制御 IC U3の負電源(ピン 4)に印加されているマイナス1.3 ボルトは、一瞬で崩壊(0Vになる)します。電圧制御 IC の入力 (3 ピン) をプルダウンしていたロー出力 (6 ピン) がハイになり、出力は電圧ポットの設定レベル (この場合は最大) に従います。
その結果、出力電圧が最大値まで急速に上昇します。これは問題です。スイッチオフ時に電圧制御 IC の出力からドライブを短絡するようにトランジスタQ1が取り付けられていても、出力スパイクを止めるには十分な速さではありません。
私はこの問題にかなりの時間を費やしましたが、スイッチオン時にも電源スパイクが発生します。PSU は他のすべての領域では非常にうまく機能するため、この問題はそのままにしておきます (スイッチオフでクランプできるトランジスタはありません)。FETを使用したON/OFFスイッチでうまくいかないのかを今後注目してみます。引用元:Electronics-Lab.com Community 0-30V 0-3A Latest Data Discussion
この対策に何種類かの提案がされていますが、どれも完璧ではないようです。ネット投稿の拾い読みでしかありませんが、EEVblog Rev7か、Paul氏のスイッチ追加策(共に後述)が現実的な解決策みたいです。
シミュレーション
オリジナルの回路図を元にしたLTspiceのモデルを作りました。参考にしたのは、www.eevblog.com にある liquibyte 氏のモデル です。オリジナル回路の解析から始めて、主電源on/offでのスパイクの問題まで解析できればいいのですが....
AC入力電圧はこのキット用に入手したUsedの24V 120VAトランスの実測値にします。引用元のAC電源では過渡特性を考慮したと思われる交流波形を計算開始時に加算していましたので、それに倣いました。入力は計算開始と同時にAC電圧を印加し、50サイクル(50/60 sec)で止めます。
ギリシャのオリジナル相当回路
オリジナルのオペアンプはTL081ですが、TIのHPで入手したspiceモデルを使ってもこの回路では発振しました。同じ供給電圧 36V でLTspice備え付けのOP07でシミュレーションしました。(OP07は44V品もあるようで、36Vでの解析になってない可能性は大いにあります。)
0-30V-0-3A_ORG_OnOff.asc |
電圧設定のポテンシオP1の抵抗比(0から1)で電圧を設定します。この比率を0.1刻みで変化させると、このケースでは0.13Vから29.67Vまで変わりました。左グラフは横軸が時間の過渡特性です。右グラフは横軸を抵抗比率(設定電圧)にしたものです。
設定電圧が最大(約30V弱)では発振が起きています。ただし、シミュレーションで発生している発振は、問題点1(オペアンプの電圧仕様36V)を表している訳ではなさそうです。AC電圧の振幅を43Vにすると、OP07でも発振はしませんでしたので、トランス電圧不足の状況を表しているのだと思います。
30V 3A対応にするための改造
- 28~30V 4.2A のトランス(ピーク値換算で40~43V)
- 44V オペアンプ(トランス電圧 :ピーク値で、28 x 1.41 + (1.3+2 ) = 43 )諸損失に2V以上を想定
- 1.3V のオペアンプ負電源(電流制御U3用)
- 出力トランジスタは熱を分散するために2連並列
- 熱に耐えるためのより大きな抵抗(Watt大)
- 校正用のトリム抵抗
That circuit cannot survive since many parts have too much voltage and current.The TL081 opamps have a maximum allowed supply of 36Vbut the 24V transformer produces a peak of 34Vplus the 5.1V negative supplyplus maybe 2V more with low load current= 41.1V.Then POOF go the opamps.The circuit has no voltage and current calibration trimpots.
The main filter capacitor is WAY too small.
My improved circuit uses a 28V or 30V 4.2A transformer, 44V opamps that use a 1.3V negative supply instead of the higher negative voltage needed for the old TL081 opamps, two output transistors to share the heat, some larger resistors to survive the heat, and calibration trimpots. It produces a regulated 30VDC at 3A as it should.
回路図はここの 0-30V LAB Power Supply modified REV6から引用しました。Audioguru氏がモディファイされたものです。
0-30V-0-3A_Rev6.asc |
オリジナルモデルと同じ解析を行いグラフ(下図)に表してみました。電圧設定ポテンシオP1の抵抗比に応じて、30V 3A まできっちりと出力が可能です。
過渡解析ではトランスのAC電圧が50サイクルで停止した後に、電圧と電流の挙動にスパイク波形が出ています。オリジナル回路ではこのような現象は見られません。オリジナルとREV 6 の大きな違いはQ1周辺回路の有無です。REV 6 回路が載せられたスレッドを読み進めると、下記のようにREV 6 考案者のAudioguru氏がスパイク挙動は未対応と言っています。
最後の1文からすると、元に備わっていたシャットオフ用トランジスタのQ1が効くのでしょうか?
I did not look into the transient that might occur when the power is turned on or off. Q1 was originally placed to short the output of opamp U2 because the old TL081 original opamps had a problem called "Opamp Phase Inversion" when an input voltage became too close to the negative supply voltage when the negative supply collapsed first when the power was turned off. It would have caused the output of the opamp U2 to suddenly go as high as it can which is bad for the speaker. The new opamps do not have this problem.You can add Q1 and its resistors if you want.電源のオン/オフ時に発生する可能性のある過渡現象については調べていません。 Q1 はもともとオペアンプ U2 の出力を短絡するために配置されていました。古い TL081 オリジナルのオペアンプには、電源がオフになったときに、まず負の電源がGNDの0Vに戻りますが、入力電圧が負の電源電圧に近づきすぎたときに「オペアンプの位相反転」と呼ばれる問題があったためです。これにより、オペアンプ U2 の出力が突然可能な限り高くなり、スピーカーに悪影響を及ぼします。新しいオペアンプにはこの問題はありません。必要に応じて、Q1 とその抵抗を追加できます。
電源on/off時のスパイク波形
電源のon/offの代わりにACの整流回路の下流にスイッチS1を設け、供給電圧を過渡的にあるなしにすることでスパイク現象を模擬してみます。つまり、AC電圧の供給を続けている状態で、0.4secから0.6secの間はスイッチS1で供給を遮断します。CCモードで起きる現象なので、P2トリマの抵抗比を0.1(電流設定300mA)の条件でシミュレーションします。
0-30V-0-3A_Rev6_OnOff.asc |
サージ対策のREV 7の回路は、Electronics-Lab.com Communityの0-30V 0-3A Latest Dataにありました。Q1を復活させ、R13とR14抵抗を調整(後述のパーツリスト参照)しています。
REV 7のLTspice回路は省略します。結果のみREV 6と対比させて載せます。下図の左がREV 6 で、右がREV 7です。REV 6にあった電源off後に現れる電圧と電流のスパイク波形がREV 7では見られません。
REV 6では、負電圧V(neg)が上昇し0Vを超えたあたりからU3の出力が急増しています。これがU2出力を急増させるので、PSUの出力電圧が高電圧(CVの設定値)に急速に近づきます。このとき、C1の電荷がR1を経由して放出されるのでVin+が急速に低下し、それに伴いPSUの出力電圧も急速に低下します。このプロセスが出力電圧のスパイク波形となって表れるというメカニズムだと読み取れます。
REV 7では、負電圧V(neg)が上昇し0Vを超えたあたりからU3の出力が急増しますが、同時に負電圧V(neg)に繋がるQ1のベース電圧も急増して、Q1のコレクタ・エミッタを導通するのでU2出力がGNDに落ちます。したがって、PSUの出力電圧もGNDになりスパイクは発生しません。
気になるのは、REV 7ではVin+が34V以上を保ったまま低下していないことです。計算時間を引き伸ばしてみると、18sec後で36Vが12Vまで放電されていました。念のため、15000uFと2.2kΩで放電時間を計算してみると、36Vから12Vまでの放電時間は33secでした。
他のスパイク対策:Paul's
Paul's DIY electronics blog Tuning a 0..30V DC 0..3A PSU DIY kit での対策をシミュレーションしてみます。Revision2 1.5A 仕様です。D7の代わりにLM337を使って1.3Vの負電源を作っています。主電源のon/offを行う代わりに、スイッチを追加してD9 のアノードをグランドに落とすことにより、出力を切る改造です。
元回路のC1は3300uF x 2 ですが、計算条件を同じにするため15000uFにしました。また、R17,R18,RV3はREV 6/ REV 7と同じに変えました。
LTspiceのモデルはQ1周辺回路を入れたものを下記に示します。D9ダイオードの下流に置いたNORelay(ノーマルオープン・リレー)S2が、前述した出力on/off用のスイッチです。
- 主電源on/off:0.4secから0.6secの間で供給電圧の過渡的なon/off
- 出力on/off:0.8secでONRelayをoffにすると、D9 のアノードがグランドに落ちて出力を切る(U2の非反転入力がGNDになり、出力をなくす)
0.8secからのスイッチ動作では重なる心配があったので、AC電源の交流波形は1.2secまで発生させています。
左グラフがTuning a 0..30V DC 0..3A PSU DIY kitで説明されているRevision 2です。右はRevision 2に対してシャットダウントランジスタQ1、R13、R14を追加した魔改造版です。
Revision 2はLM337で負電源を作っています。REV 6と同様に主電源のoff、またはAC交流波の停止後に負電圧が0Vに上昇するタイミングで、電圧、電流にスパイクが発生しています。
0.8secで出力を切った後では、電圧、電流ともにゼロになります。このとき負電圧は変化することなくー1.3Vを維持しています。
右グラフはQ1が導通するため主電源のon/offであっても、出力の停止であっても、電圧・電流のスパイクが発生しません。Q1がない左グラフのケースでは誤って主電源を切るとサージが発生してしまうのに比べ、こちらはより安心の回路だと思います。
左図 Paul's REV 2 右図 Paul's REV 2 with Q1(スパイク対策) |
Paul's Revision 5 でのスパイク波形、定電流制御の効き
Paul's Revision 5 は外付けの電圧/電流計のICから発せられるノイズ対策回路です。電圧/電流計の電源やU3の正電源などを安定化電源回路から独立させています。電圧/電流計のICをLTspiceで再現することはできないので、電源構成だけは模擬した回路にしました。
ついでにCC値を電圧換算でモニタする回路と差分回路で模擬した電圧計を追加しています。
0-30V-0-3A_Paul's Rev5_OnOff.asc |
グラフは電流制限を約1.5AにしたCCモードでの結果です。
左グラフは過渡特性で、0.4secから0.6secで主電源のon/offを、1.0secから1.4secでD9のあアノードをGNDの落として出力のon/offを模擬しています。主電源のon/offでは電圧と電流にスパイクが発生していますが、出力のon/offではスパイクの発生はありません。
CCモードの検証のため、負荷抵抗を1から100Ωまで等比で増加させています。このため、各特性には複数の特性線がプロットされています。注目すべき点は、電流制限V(cc_v)(電圧値をアンペアに読みかえると電流制限値)です。詳細に値を読み取れば、負荷抵抗の大きさによって、1.38Aから1.45Aまで変化しています。さらに出力offでは1.36Aです。この原因は負荷を流れる電流の大きさに応じてベース側の電圧V(vout-)が増減するためです。シャント抵抗R7で持ち上がられた電位をベースにしているこの電源回路の性質上、電流制限V(cc_v)の変動は諦めるしかなさそうです。出力offで電流制限を設定すると、出力onでは数%増加し、その割合は負荷の電流が少ないほど大きくなることに注目しておかねばなりません。
右のグラフは横軸を負荷抵抗にしたときの上から、電流、CCモードLED電流、電圧、負電源電圧です。10ΩまでCCモードでの電流制限が働いているのがわかります。このとき、電圧は10[Ω] x 1.4[A] = 14[V]です。さらに抵抗を増やすと電流は減少しますが、31.8[Ω] x 0.96[A] = 30.5[V] で電圧制限が有効になります。
出力のon/offを負荷の前後で行った場合もシミュレーションしてみました。1secで出力offした後、1.4secでonしています。この位置でon/offしてもスパイクは発生していません。
パーツリスト整理
まとめ
- 28V 4.2A 以上のトランス(ピーク値換算で40~)120VA以上
- 44V オペアンプ(TLE2141)
- 1.3V 負電源
- 出力トランジスタは熱を分散するため2連並列
- 熱に耐えるため大きなワット数の抵抗
- 校正用のトリム抵抗
- Audioguru氏のREV 7 に加えて、D9 のアノードをグランドに落とし出力を切るスイッチを追加
- Paul氏のRevision 2に加えて、Q1周辺回路を追加