今話題の ChatGPT を使って、LTspiceの希望する回路図が得られるかを試してみました。今回の結果では正しい答えを得ることができませんでしたが、対話形式のQ&Aはごく自然で、必要な情報を提供するプロセスは納得できるものでした。(この内容は、2023/2 中旬の状況です。)
ChatGPT
試しに、LTspiceの回路図を教えてもらいます。以下のチャットでRC発振回路のネットリストを教えてもらいました。
ネットリストを指定しているのは、ChatGPTはこの形式しか対応していないようだったからです。参考のために、この前段階でのチャットを一段下に載せておきます。
トランジェント解析の書き方や説明がLTspiceのsyntaxと違っているようですが、計算はするようです。正しい記述は次です。
Syntax: .TRAN <Tstep> <Tstop> [Tstart [dTmax]] [modifiers]
提示されたのはネットリストなので、回路が.ascで保存されるというくだりも間違っていると思います。
ネットリストをLTspiceで使う
蛇足:LTspiceでのネットリストの使い方
- ネットリストのテキストファイルを ".cir" の拡張子で保存しておいて、これをLTspiceで読み込ませます。下の左図の状態です。
- "Run"させるのは通常と同じで、このファイルをアクティブにしておいて、"Run"(走っている人をクリック) です。
- 結果を見るには、視覚的に回路図をクリックできないので、グラフペイン上の右クリックで出てくる"Add Traces" から、"Add Traces to Plot" で選びます。
左図:ネットリストとその計算結果 右図:手書き回路図とその計算結果 |
右図の回路図からネットリストを吐き出してみました。([View]→[Spice Netlist])書き方の違いは少しありますが、ネットリストとしての内容は同じでした。
ChatGPTの回答回路は発振しない
URLをたずねてみた
最初に教えてくれたのは、LTwiki の トップページでした。そこに行って、"RC Oscillator Circuit" で検索しても、結果は ”There were no results matching the query.(該当なし)” でした。
さらに、URLの絞り込みを依頼して教えてもらったのは、 Analog Devices社のサイトですが、そこでは "Ahhh, technology. We can't find that page.(そのページが見つかりません)" でした。
ChatGPTでLTspiceは無理
まとめ
ChatGPTがLTspiceのチュートリアルに使えるかという点では、現段階ではNoだと思います。そこまで精度の良い情報はまだ提供されません。ただし、最初に提供されたものがネットリストではなく、回路図ファイル(〇〇〇.asc)だったら、印象はかなり違ったと思います。
「〇〇〇.asc の回路図が欲しい。」と伝えても、提供されるのはネットリストになるという残念な結果でした。ならばと、LTspiceでネットリストを使う方法を聞いたのですが、正しい手順と方法が提供されませんでした。
URLを聞く方法は、Googole検索と似たような使い方のような気もしますが、そこで提供されるURL情報は、Googole検索よりも欲しいものに近いという印象です。
たずね方を変えたら欲しいところにたどり着けるのかもしれませんが、今のとことは、①たどり着けない ②提供された情報が正しくない の2点でLTspiceでは使えなかったという結果です。
補足:チャットの開示について
ChatGPTのチャット内容をブログで公開しても良いようです。ただし、”情報源として OpenAI に適切なクレジットを与えるようにしてください。” とあります。「それが、OpenAIのChatGPTだとわかるようにしてください。」という意味でしょうか。