概要:SSD同士のクローン
HDやSSDのクローンの作成にはEasues Todo Bakupなどのツールを使うと簡単にできる。しかし、 これらのクローン作成ツールは使いずらくなった。その理由は、
- 最近のEasues Todo Bakupなどは有料版でなければクローンを作れなくなった。
- 古いバージョンなら無料で可能だが、マルウエアウイルスに感染している。
そこで、クローンの作成には、Ubuntu のdd
コマンドを使う。
まずここでは、内蔵SATA SSD(256GB)からNVMe SSD(512GB)にクローンを作成することを考える。
- クローン元 SSD:SATA 256GB(
/dev/sda
) - クローン先 SSD:NVMe 512GB(
/dev/nvme0n1
) - ブート用 USB:Clover(
/dev/sdb
)
最初に、Ubuntuで接続されているディスクとパーティションを確認する。これには、Gparted
やparted
コマンドを使う。
(1) parted
コマンドで確認する場合
ターミナルで以下のコマンドを実行する。
sudo parted -l
出力例:
Model: ATA Samsung SSD 860 (scsi)
Disk /dev/sda: 256GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt
Disk Flags:
Number Start End Size File system Name Flags
1 1049kB 256GB 256GB ntfs data boot
Model: Samsung SSD 970 EVO Plus 500GB (nvme)
Disk /dev/nvme0n1: 512GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt
Disk Flags:
Number Start End Size File system Name Flags
1 1049kB 512GB 512GB ntfs data
/dev/sda
が256GBのSATA SSD/dev/nvme0n1
が512GBのNVMe SSD/dev/sdb
がブート用USB(Clover)
おさえておくべき点:
- ディスク名(
/dev/sda
、/dev/nvme0n1
) - 各パーティションのサイズとファイルシステム
(2) Gparted
で確認する場合
GUIを使用する場合、Gparted
を起動して、ディスクのパーティション構成を視覚的に確認する。
sudo gparted
クローン元とクローン先のディスク名が分かったら、
次に、dd
コマンドを使用して、元のSATA SSDからNVMe SSDへクローンを作成する。
sudo dd if=/dev/sda of=/dev/nvme0n1 bs=64K status=progress
if=/dev/sda
:入力ファイル(SATA SSD)of=/dev/nvme0n1
:出力ファイル(NVMe SSD)bs=64K
:ブロックサイズstatus=progress
:進行状況を表示
クローンが終了したら、Clover ブート用 USBを使ってNVMe SSDのWindowsを起動し、SATA SSDの内容を正確にコピーできたことを確認する。
本文:手順: RAID 0アレイからNVMe SSDへのクローン作成
複数のHDDやSSDでRAIDを構成している場合には、上記の方法に比べてディバイス名の確認(獲得)にひと手間かかる。
Ubuntuを使ってRAID 0アレイSSDをNVMe SSDにクローンする方法を以下に整理する。この方法では、RAIDアレイのデータを壊さないように注意しながら、Ubuntuのライブ環境を活用する。
1. 必要な準備
ライブUSBの作成
UbuntuのライブUSBを作成する。永続化機能がなくても問題ないが、後述するツールが再起動後に消えるため、その点に注意がいる。ツールの確認
必要なツール(dmraid
またはmdadm
、gparted
、dd
)がUbuntuにインストールされていることを確認する。ライブ環境でインストールできる。:sudo apt update sudo apt install dmraid mdadm gparted
2. RAID 0アレイをUbuntuに認識させる
RAIDデバイスの検出
RAIDアレイがBIOS/UEFIで有効になっている場合、dmraid
またはmdadm
でRAIDデバイスを認識させる。- RAIDアレイを有効化するコマンド(Intel RSTの場合):
sudo mdadm --assemble --scan sudo dmraid -ay
結果例:
RAID set "isw_eabjciihig_Volume0" already active
- RAIDデバイスを確認:
ls /dev/mapper/
結果例:
control isw_eabjciihig_Volume0
- RAIDアレイを有効化するコマンド(Intel RSTの場合):
RAIDボリュームが正しいか確認
ボリューム名がRAID 0アレイであることを確認する。デバイスの詳細確認
RAIDボリュームが正しく表示されているか確認する。sudo fdisk -l
3. クローン作成の準備
NVMe SSDの確認
新しいNVMe SSDが正しく接続され、認識されていることを確認する。lsblk -a
結果例:
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINTS 省略 sda 8:0 0 111.8G 0 disk └─isw_eabjciihig_Volume0 253:0 0 212.4G 0 dmraid sdb 8:16 0 111.8G 0 disk ├─sdb1 8:17 0 111.8G 0 part └─isw_eabjciihig_Volume0 253:0 0 212.4G 0 dmraid sdc 8:32 0 1.8T 0 disk └─sdc1 8:33 0 1.8T 0 part /media/ubuntu/ボリューム sdd 8:48 1 14.4G 0 disk └─sdd1 8:49 1 14.4G 0 part /cdrom sr0 11:0 1 1024M 0 rom nvme0n1 259:0 0 238.5G 0 disk ├─nvme0n1p1 259:5 0 528M 0 part ├─nvme0n1p2 259:6 0 99M 0 part ├─nvme0n1p3 259:7 0 16M 0 part └─nvme0n1p4 259:8 0 237.8G 0 part
パーティション編集ツールの起動(必要に応じて)
新しいNVMe SSDにパーティションを作成したり、RAIDアレイに合わせた容量を調整する。sudo gparted
4. クローンの実行
クローン作成にはdd
コマンドを使用したクローン作成dd
コマンドを使用する。このコマンドはデータをそのままコピーするため、慎重にデバイス名を指定する。sudo dd if=/dev/mapper/isw_eabjciihig_Volume0 of=/dev/nvme0n1 bs=64K conv=sync,noerror
if=
: コピー元(RAID 0アレイ)of=
: コピー先(NVMe SSD)bs=64K
: 一度にコピーするブロックサイズ(高速化のため)conv=sync,noerror
: エラーが発生してもスキップして継続
進行状況の確認
dd
コマンドでは進行状況が表示されないため、別途pv
をインストールして確認する方法もある。
5. クローン後の確認
NVMe SSDの内容を確認
クローンが正しく作成されているか確認する:sudo fdisk -l /dev/nvme0n1
ファイルシステムの修復(必要に応じて)
クローン後にファイルシステムの整合性を確認し、修復する:sudo fsck /dev/nvme0n1
6. 起動設定
Cloverブートローダーの使用
RAIDからクローンしたシステムをNVMe SSDで起動するため、CloverブートローダーをUSBまたはRAID 0デバイス上にセットアップする。BIOS/UEFI設定の確認
BIOS/UEFIでNVMe SSDを起動デバイスとして指定する。