FANコントローラを考える

published_with_changes 更新日: event_note 公開日:

labelelement labelLTspice label計測器


Amazonで購入したUSB電源で動くFANは、定格電圧で回すとモーター音だか風切り音だかうるさいので、静かにするために温度で回転数を制御するFANコントローラを作ろうと思います。

正攻法は3端子レギュレータとかPWMで電圧を作るのでしょうが、そこまではちょっとと思いWebを探していると、もっと簡単にできる方法を見つけました。

トランジスタで作る放熱用ファン制御回路 | CalendarMemo 作者の独り言

トランジスタで作る放熱用ファン制御回路 | CalendarMemo 作者の独り言

 昨日は LMC 555 で作る放熱用ファン制御回路を紹介しました。その中でトランジスタ一個で作る話しが出てきました。実はトランジスタ二個ならできるんです。今日は、その話しをしましょう。


左の回路図を見て下さい。トランジスタのバイアス抵抗をサーミスタにしています。サーミスターは温度が上昇すると抵抗が小さくなるのでトランジスタのベース電流が増えファンモーターが回転します。非常に単純な回路ですが、これでも確実に動作します。

この回路を利用させていただくことにします。サーミスタの抵抗が温度変化したときの解析をLTspiceで行い、この制御回路のパラメータを探ります。

サーミスタの特性と出力の線形化


FANコントローラの特性を検討する前に、まず、サーミスタの特性を明らかにしておきます。このことについては、次の記事に説明がありました。


サーミスタ抵抗の温度特性はこの引用で説明されているように強い非線形性があり、指数関数として数値化できます。このとき、サーミスタに直列に他の抵抗を接続して抵抗分圧することで,サーミスタを介した電圧変化を簡易的に直線化することができます。直列に接続する抵抗の考え方についても上記に説明がありました。

Amazonで購入したサーミスタはB定数 3950の10kΩです。分圧比を決める抵抗Rvを2kΩに固定して、直列抵抗を1k~8kΩまで変化させたときの合成抵抗(Rs+Rth)と抵抗分圧比(サーミスタを介した制御電圧)をExcelでグラフ化してみました。

抵抗を直列に入れても抵抗値の非線形性はほとんど変わりません。ところが、抵抗分圧比は比較的リニアな特性が得られています。直列抵抗Rsを大きくすると温度に対する変化が緩慢になります。つまり、FAN回転数の増加を温度変化に対してなだらかにする場合は、直列抵抗Rsを大きくすればよいわけです。




FANコントローラの特性

次の回路でシミュレーションしてみます。モーターは、実測した25Ωの抵抗R5と4mHのインダクタンスL1で表しています。静的な解析なのでL1はなくても良かったです。6V電源を使ったときに、高温時にはできるだけ5V近い電圧がモータに働くようにパラメータを選んでいます。

直列抵抗Rsは2kΩとして、可変抵抗Rvは1.4kから0.2kずつ増やして計算します。




計算結果を下図に示します。上から、FAN回転数 V(rot)、モーターに加わる電圧 V(N001,N003)、抵抗分圧したサーミスタ制御電圧 V(th)とトランジスタQ2のエミッター電流 Ie(Q2)です。実際にはモーター電圧2V以上でFANが回転します。(モーター電圧を下げてきた時は2Vまで回転可能でした。上げるときの値は測定していません。)

これで作ります。



仮組して特性測定

ブレッドボードに仮組して、特性を測ってみました。サーミスターはハンダごて台に磁石で貼り付けました。その関係で60℃までしか温度をあげることができませんでした。温度は非接触式の温度計を手持ちしての読み値ですので精度はよくないです。FAN回転はLEDで検出しています。温度がどんどん変化するので、目視読みの各測定値の精度はよくないです。







測定した項目はFAN回転数 V(rot)、モータ電位 V(N001,N003)、サーミスタ制御電圧 V(th)です。

計算とピタリとまではいきませんが、約50℃でFANが回転を始めることと、温度の増減でFANの回転数が変化する基本的な動作は確認できました。回り始めはモーター電圧が3V程度必要なようです。

RV1600Ω
サーミスタ
温度 th [℃]
分圧
Th2 [V]
モーター
電位 [V]
電源電流
I [mA]
FAN回転LEDパルス
周波数 [Hz]
回転数
[rpm]
351.040.7750x-0
451.282.92128x-0
471.252.84745x-0
501.212.60057xモータから異音0
511.522.82572o4502455
561.593.02779o5002727
601.633.10082o5002727
551.482.69065o4002182
501.423.48056o3301800
481.292.92330o100545
481.262.93315x-0
511.462.65965o4802618












Powered by Blogger | Designed by QooQ

keyboard_double_arrow_down

keyboard_double_arrow_down