この間、Amazonで買ったCPU FANは2線式で回転パルスが出ていません。電源電圧と電流は5Vで0.18Aと書いていますが、回転数は不明です。動かすと回転数が高く結構うるさいので、電圧を可変する簡易なFANコントローラを作ろうと思っています。
そこで、このFANの素性を知るために電圧と回転数の関係を知りたくなりました。ネットを見ていると、LEDは光センサーになる(受光すると起電力を発生)ことが紹介されていました。
予備試験
LEDの色により起電力に大小があります。サイズや個体差によるバラツキ?もあります。今回の測定では緑色のLEDが一番起電力が大きくなりました。FANの裏側に入れる関係で、緑色 3mmのLEDを使うことにします。
FANの回転数測定
思いのほか大きな起電力が得られることが分かったので、LEDを直接オシロスコープのプローブにつないで、FANの直裏に配置することにしました。ショートだけしないようにマスキングテープで保護したやっつけ仕事です。
これをFANの後ろにセットして、前からダイソーのUSB 調光ライトの強い光をあてます。
安易な方法でしたが、計測には十分なはっきりとしたパルスを得ることができました。下図は5Vを加えたときのものです。FANの羽で光が遮られるごとに波が発生します。
電圧を変えて波の周波数を測り、羽の枚数でFAN回転数に換算した結果を示します。
電圧を下げていくと1.9VまでFANは回ってくれます。聴感上では、3V 2400rpmはうるさく感じられません。回転数と風量が比例すると考えれば、3V 2400rpmだと5Vの60%程の風量が得られることになります。
FANモーター諸元を求めてみる
モーター回転は次式で表現できます。
■回路方程式
モーターの等価回路は以下となります。モーターはモーター自身の角速度ωに比例して逆起電力eが発生します。 この時の逆起電力値はKeωとなります。(Ke:逆起電力定数)
回路方程式は以下のとおり。
引用元:ブラシ付きDCモーターの仕組み
モーターの内部抵抗 R
モーター回転を拘束した状態で電圧と電流の定常状態を測定すると、上記式の $\frac{di(t)}{dt} = 0, ω=0$ になるので、$V(t) = Ri(t)$ の関係からモーターの内部抵抗 R を求めることができます。ただし、$V = v(t) - e$ ですが、前述の回転数と電圧の関係より、逆起電力 $e = 36mV$ と考えられます。この値は電源電圧Vに対して小さいので無視することにします。
内部抵抗は下記の表のようになりました。電圧によって多少の変動があります。
モーターのインダクタンス
モーター回転を拘束した状態で、電源電圧を瞬時にONするステップ応答を考えます。このとき、前述の式で $\omega = 0$ になるので、ステップ応答は次式で表すことができます。
時間 t が時定数 $\tau (=\frac{L}{R})$ となった時、RL回路に流れる電流 $i(t)$は$0.632\frac{V}{R}$ となります。したがって、モーターコイルのインダクタンスは
$$ L = \tau \times R (ただし、R はモータ内部抵抗とシャント抵抗の和)$$
で求められます。図で表すと下記のようになります。
引用元:コイルの種類と時定数を学ぶ
測定した結果と電流のステップ応答波形の一例(電圧5V)を示します。
FANモーターは
- 内部抵抗:25Ω
- インダクタンス:4mH