オシロスコープとPCの連携

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label計測器


オシロスコープのHANMATEK DOS1102をPCにつなぎデーターロガーもどきのことができたので、忘れないうちに備忘録を書いておきます。

HANMATEK DOS1102という安価な中華製デジタルオシロスコープを持っています。HANMATEKという会社の実態はよくわかりません。メーカではなく販社のように思います。ネットを探してもドライバやソフトウエアの情報どころか、マニアルの情報すらありません。この会社はユーザサポートは一切ないように思います。

だた、値段が安いのでAmazonで買ったこの会社の安定化電源(HM305)も持っています。

HANMATEK DOS1102はOWON SDS1102と外観やスペックがそっくりです。OWON設計のOEM扱いの商品ではないかと思います。

このオシロには正面と背面にUSBポートがあります。正面のポートにUSBメモリをつなぐと画面キャプチャーができます。背面ポートはUSB Type B のポートがあり、いかにもPCと接続できそうだったのですが一切の説明や添付CDもなく、使うまでもなくここは気に留めていませんでした。


OWON SDS1102用を導入してみる

きっと中身が同じなので、OWON SDS1102のものが使えるのではないかと推測しました。オシロ側のファームウエアを触るのではないので壊れることもないだろう。PC側にUSBドライバとソフトを入れればハードウエアが同じなのでPCにつなげるかもしれないと考えた次第です。最近USB type B のケーブルをめったに見なくなりましたが、引き出しを探していると出てきたので、人柱 Go!に勢いがつきました。

OWONのDownload CenterでSDS1102用のUSBドライバとソフトウエアを探します。きっとこれだろうと思い四角枠で示したものをダウンロードしました。"1000 Series" と銘打っているものを選びます。銘打っていない"SDS Series" ではソフトが使えませんでした。


ダウンロードしたファイルは、OWON_newDSO_Setup.zip です。中にはドライバとセットアップファイルがありました。これを適当な場所に解凍します。


USBドライバのインストール

オシロの電源を入れた状態でオシロとPCをUSBケーブルでつなぐと、Windowsがドライバのセットアップを始めますが、ドライバが探せないためデバイスマネージャは下図のように警告状態になります。


ダウンロードした"USB driver" フォルダにある”InstallDriver.exe” を実行します。


ドライバがインストールされると、デバイスマネージャに"libusbK USB Device" として"Oscilloscope"が認識されます。


ソフトウエアのインストールと設定

セットアップファイルを実行すると、"OWON Oscilloscope Software" というソフトがインストールされます。

このソフトを立ち上げたとき、オシロが正常にPCとつながっていれば右下の"automatically check" が緑色になっています。

左上の"Communications" をクリックして設定を行います。


"Ports Settings" で接続設定を行います。


"Connect using:" が ”USB”になり、"Available Ports" が"(Device0)" になっていることが確認できます。
"Custom USB Transfer Instructions....." はオシロからPCへ取り込むファイルの形式を指定します。
  • Wave Form は .bin(バイナリー)形式での取り込みです。あとで取り込んだ波形をビューしたり、データをエクセルに出力できます。(簡易データーロガー)
  • Image は .bmp形式の図形ファイルです。
  • High Memory Depth はオシロが取り込むメモリ長だけ取り込むのだと思います。現段階では使いこんでいないので、よくわかりません。
  • Keep Getting Delay についても、よくわかりません。
  • Save data file automatically... は保存場所の指定です。


PCへのデータの取り込み

想像していたのは、下図のようにオシロで見ている波形が常時PCでも見える使い方だったのですが、そうではありませんでした。わかりやすく言えば、オシロ画面をPCにキャプチャーするソフトのようです。オシロ画面がリアルタイムにPCに反映されるのではなく、"Get Data" すると、その時のオシロ画面をPCに取り込むという流れになります。

キャプチャする点ではUSBメモリを使って取り込むのと違いはありません。メリットはPCにつなぐことで日時が得られるので、キャプチャするファイル名にタイムスタンプがつきデータの整理がしやすくなることです。カーソルを動かして数値を読むこともできます。静止画なので、これはやりやすいです。ただ、使い方の問題化もしれませんが、オシロでの測定値と違うような気がします。


この波形を取り込むには、"Communications"から、"Get Data" とします。すると次のポップアップ・ウインドウが出てきます。

保存場所を指定して、"Start" で波形の取り込みができます。

データーロガーもどきの使い方

波形をキャプチャした状態で、"View" から、"Data Table" を選ぶと、エクセルへの書き出しを行うウインドウが現れるので、ここで"Save"します。.csvではなく、.xlsxで書き出してくれます。

オシロ画面の取り込みをWave Formで行うと、保存先に .bin ファイルができています。.bin ファイルはこのソフトで後からでも表示させることができるので、表示させた波形を上述した方法であとからエクセルデーターに変換することができます。

下の例では青色のグラフも表示されています。これはFFTボタンがあったので試しに使ってみたものです。エクセルへの書き出しとは無関係です。FFTデータもエクセルへ書き出されるかどうかは、確認していません。


試しに上図の波形をエクセルに書き出して、グラフにしてみました。


データーロガーとしての制約

画面ごとにエクセルデーター化

このソフトはデーターロガーではなくキャプチャーですので、データーを継続して取り込める訳では無いようです。オシロの1画面に表示されるデータを数値化しているようです。オシロ側の時間刻みを変えても、エクセルに書き出されるデータ数は1500個で一定でした。

それと、試してはいないのですが、連続で波形をキャプチャできる機能もあるようです。これを使えば、まず、Wave Formで連続した .bin ファイルを書き出し、それぞれをエクセルデーター化すれば、連続したデーターロガーとして使えるかもしれません。

ノイズが載る

先の例の時間刻みは10ns/divだったのでノイズを拾っていませんが、時間刻みを5s/divと大きくした例を次に示します。Ch2の値を変えてもCh1の値は一定という定電圧制御の現象を数値化して、x-yグラフを得ようと試したケースです。

Ch2の電圧を手動でゆっくりと変化させ、時間刻みを5s/divにして1画面に収めました。前述のような過渡現象をとらえるときには問題にならなかったのですが、長時間のデータ取り込みではノイズを拾っています。2つのチャンネルに同時に起きているので計測経路で発生するコモンモードノイズではないかと思います。同時にデジタルマルチメータで数値を見ていましたが、このような変動は現れませんでした。早い現象をとらえるオシロだから出ている現象だと思います。


これをエクセルでx-yグラフにしたのが下図です。ノイズの除去をしなければこのままではグラフになっていません。


まとめ

手持ちのオシロでデーターロガー的にデータの収集ができるとこまではこぎつけました。ゆっくり変化する現象をとらえて記録するには、オシロは不得手なので限界があるのかもしれないですが、少し工夫をしてみようかと思います。

追記

Excelに取り込んだデータにExcelのMedian関数を適用してみました。引数は5個にしましたので5個の区間における中央値がその値としてピックアップされます。今回のノイズのような極端に高い/低い値を取り除くことができます。

53番目のデータが前後のデータと比べて極端に高くなっていましたが、Median関数を適用することで、極端値が取り除かれています。



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