LTspiceでスイッチング回路でもDC解析風に表示する方法

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LTspiceにはDC動作点解析というオプションがあって、横軸を電圧、電流など任意のパラメータにしてグラフ表示させることができます。

ただし、DC動作点解析は、電子回路の定常状態での各ノードの直流電圧・電流を算出するため、発振を利用したスイッチング回路などでは、DC動作点解析をやろうとするとエラーになるときがあります。

下記の例では、「スイッチングがモデル化できないので、意味のない結果になるかもね」と警告メッセージが出ています。


この例では警告メッセージは出ますが、”OK”を押すと計算します。そして結果がグラフ表示されます。分圧抵抗をX軸にして、OUT電圧(コンバータ出力)をY軸で表示しみました。一見それなりですが、よく見るとY軸がほぼ変化しない変な(誤った)結果です。



一方、Tranjent解析では、分圧抵抗比(V(out)/I(R3))を変えることでOUT電圧は5Vから11Vに変化しています。この結果が正しいです。一気にDC動作点解析に持っていかないで、Tranjent解析と比較しながら、正しいかどうかを検討する必要があります。



前置きが長くなりましたが、スイッチング回路でもDC解析風に表示する方法を私の忘備録として書いておきます。このブログで教えてもらいました。


ねがてぃぶろぐ LTspiceで直流解析(DC解析)

スイッチングを含む回路スイッチングを含む回路でも直流解析のようなことを行いたい場合があります。たとえばスイッチングレギュレータのロードレギュレーション等です。


方法概要

.measコマンド.stepコマンドを利用したTranjent解析を行います。
  1. .stepコマンドで変化させるパラメータと変化量を決める
  2. .measコマンドでグラフ表示させたいパラメータを指定する
  3. Tranjent解析が終わったら、エラーログ(Spice Error Log)を開いて、Meas(urement)の内容を確認する
  4. エラーログでマウス右クリックして出てくる "Plot step'ed .meas data" を選ぶ
  5. ”Plot setting”(グラフのviewer)が現れるので、必要な項目(Traces)を選び描画する

具体例

トラッキング電源をシミュレートする回路です。発振させてはいないのですが、なぜかOP解析(DC動作点解析)では正しい結果がグラフ化できませんでした。


Tranjent解析結果です。

1. R10, R11 の可変抵抗を表すパラメータRoを .stepコマンドで変化させます。



2. .measコマンドでグラフ表示させたいパラメータを指定します。

この例では、正/負電圧と正/負電流のRMSを指定しました。この例では出力の発振はないのですが、発振している場合は出力の大きさを取り込むにはRMSにするのがいいみたいです。

取り込む範囲はTranjent解析の結果をみて、値が一定の範囲を選びます。



3.解析を行い、終わったら、"Spice error log" を表示します。(CTRL + L)

4. エラーログでマウス右クリックします。

.measコマンドの結果が書き込まれています。
マウスを右クリックすると、"Plot .step'ed .meas data"がポップアップされるので、これを選びます。



5. ”Plot setting”(グラフのviewer)が現れます。

"Add Traces” を選ぶと、.measコマンドで指定したパラメータがポップアップしてくるので、必要なパラメータを選んでグラフにします。"Add Plot Plane" ではグラフの追加ができます。



X軸のデフォルトは .stepコマンドで指定したパラメータですが、任意のものに変更ができます。

具体例:発振するスイッチングレギュレータ回路

先の事例は発振していなかったので、トラッキングできるスイッチングレギュレータでの事例を載せます。

出力電圧が所定の値 Vl になるように、.step param Vl list 3 5 9  12  15 24 を設定しています。

.measコマンドでは、posとnegの電圧のRMSとPP(peak to peak)を設定しています。








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