LTspiceにはDC動作点解析というオプションがあって、横軸を電圧、電流など任意のパラメータにしてグラフ表示させることができます。
ただし、DC動作点解析は、電子回路の定常状態での各ノードの直流電圧・電流を算出するため、発振を利用したスイッチング回路などでは、DC動作点解析をやろうとするとエラーになるときがあります。
下記の例では、「スイッチングがモデル化できないので、意味のない結果になるかもね」と警告メッセージが出ています。
この例では警告メッセージは出ますが、”OK”を押すと計算します。そして結果がグラフ表示されます。分圧抵抗をX軸にして、OUT電圧(コンバータ出力)をY軸で表示しみました。一見それなりですが、よく見るとY軸がほぼ変化しない変な(誤った)結果です。
前置きが長くなりましたが、スイッチング回路でもDC解析風に表示する方法を私の忘備録として書いておきます。このブログで教えてもらいました。
方法概要
- .stepコマンドで変化させるパラメータと変化量を決める
- .measコマンドでグラフ表示させたいパラメータを指定する
- Tranjent解析が終わったら、エラーログ(Spice Error Log)を開いて、Meas(urement)の内容を確認する
- エラーログでマウス右クリックして出てくる "Plot step'ed .meas data" を選ぶ
- ”Plot setting”(グラフのviewer)が現れるので、必要な項目(Traces)を選び描画する
具体例
トラッキング電源をシミュレートする回路です。発振させてはいないのですが、なぜかOP解析(DC動作点解析)では正しい結果がグラフ化できませんでした。
この例では、正/負電圧と正/負電流のRMSを指定しました。この例では出力の発振はないのですが、発振している場合は出力の大きさを取り込むにはRMSにするのがいいみたいです。
取り込む範囲はTranjent解析の結果をみて、値が一定の範囲を選びます。
3.解析を行い、終わったら、"Spice error log" を表示します。(CTRL + L)
4. エラーログでマウス右クリックします。
"Add Traces” を選ぶと、.measコマンドで指定したパラメータがポップアップしてくるので、必要なパラメータを選んでグラフにします。"Add Plot Plane" ではグラフの追加ができます。
先の事例は発振していなかったので、トラッキングできるスイッチングレギュレータでの事例を載せます。
出力電圧が所定の値 Vl になるように、.step param Vl list 3 5 9 12 15 24 を設定しています。
.measコマンドでは、posとnegの電圧のRMSとPP(peak to peak)を設定しています。