日立 ビートウォッシュ洗濯機の異音対策に失敗

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表題の洗濯機なのですが、一年近く前から脱水のときにものすごいビート音がするようになりました。最初は気にしていなかったのですが、最近は騒音レベルの大きな音になってきていました。そこで、徐々に調子を見ながら最終的にはモータ交換まで行ったのですが、交換後にまともに動かなくなってしましました。色々調べてみたのですが、どうにもならず現行モデルに買い換えました。そして、10年の技術進歩を体感しました。




異音の原因調査(原因とは無関係のノイズ文が多し)

手で回したりゆすったりしても、何かが干渉している様子はなく異音は全くしません。裏蓋を開けて内部を観察したのですが、目視では干渉とか当たった痕跡はありませんでした。しかし、洗濯物の量が少ないほど、脱水でひどいビート音になります。

まず洗濯槽の底で回っている羽(パルセータ)の下に異物が落ちているのかも知れないと疑い、これを外してみることにしました。中央の取り付けネジが緩んでいたのでネジは取れたのですが、パルセータは手で引っ張ったくらいでは外れません。もともと手を引掛けるくぼみとかがないので、両手でフチを掴んでやってみたのですが、それくらいではびくともしません。



YouTube動画を調べると、ネジ式フックを穴にねじ込んで引っ張ると抜けることが分かりました。そこでコーススレッド・ネジをねじ込んでプライヤで引っ張ってみたのですが、これでも全くびくともしません。力任せにやって壊すかもしれないと恐れながらも、何数十回も衝撃を与えつつ引張りましたが、それでもダメでした。始めはパルセータの山状になっている所が剛性が高そうなので、ここを引っ張っていたのですが、そこから90度ずらした剛性の低くて撓みやすい位置に変えて引張ったら一撃で抜けました。



外してみてわかったのですが、モータ軸にはセレーションが切ってあり、そこにパルセータがはめ込まれているので、引っ張るくらいではなかなか抜けなかったのだと思います。



パルセータを取って、洗濯槽の底をつぶさに調べましたが、異物はありませんでした。中央の取り付けネジの緩みは少し期待したのですが、異音とは関係ありませんでした。

そして、当初思っていたような単純なことが異音の原因ではないことがわかりました。残る回転体はモータしかありません。モータの軸受けがグリス切れや水分侵入により劣化しているのだと思います。

クドウブクミ

”日立 洗濯機 異音” などのキーワードで検索すると、モータを交換して直った事例がかなり挙がっていました。日立の場合はダイレクトドライブのモーターで、洗濯と脱水用の2つのモータとクラッチなどが一体となった”クドウブクミ”という部品の交換になります。ベアリング単体で交換できるような構造ではなくアセンブリ交換です。


我が家の洗濯機 BW-8SV に合うクドウブクミ(駆動部組み立て品)はYhooショッピングで扱っている所がありました。交換には特殊工具が必要なのですが、このショップはその貸し出しも行っていました。送料も含めて一式で1.4万円ほどです。


ショップの商品説明を載せておきます。
商品情報
交換手順書付 日立 洗濯機 部品 クドウブクミ BW9PV 004 レンタル交換工具同梱版

対応機種:BW7PV BW8PV BW9PV BW7SV BW8SV BW9SV

※この年代の機種は軸受ベアリングがゴリゴリ・ゴーゴーいう故障が多いです。
また、洗い時に波を起こす動作の時カチカチカチという故障も多いです。

この部品を交換するには一般の方がまず持っていない工具が必要になります。

日立洗濯機 駆動部を交換する為の貸出工具を同梱した金額の設定商品になります。
(部品代\9900+レンタル料\1980+返送代\520=合計\12400税込)
交換する為に必要な工具がフルセットになっております。
こちらはその工具セットの価格が含まれる部品セットです。


レンタル工具


ばらし

まず、四隅にあるプラグを開けて、中の十字穴付きボルトをインパクトで緩めます。ばらし方はこの動画が適切に説明されていると思います。(クドウブクミの交換動画ではなく、洗濯槽の分解清掃動画です。)

前部2ヶ所の爪を外すのは動画のやり方ではむつかしいです。赤丸枠で示すように金属の溝に蓋の突起が前方向に向かって引っかかっていますので、マイナスドライバーで突起を後ろに押しながら蓋の前部を持ち上げると外れました。このためには先に操作パネルを外す必要がありました。



後ろの蛇腹ホースを外す必要があります。普通のホースクリップは摘まむと開くのですが、摘まみ代がありません。マイナスドライバを下に噛ませて、てこの原理でホースを浮き上がらせて外しました。



洗濯槽は対辺38mmのフランジナットで固定されており、これを外すのが最難関です。クドウブクミをかった店ではレンタル工具を扱っていたので、何とかなりました。大工仕事用のハンマーではきっとびくともしなかったと思います。


新品の写真を載せます。フランジナットを取ると、その下に波ワッシャが1枚と平ワッシャが1枚あり、洗濯槽を挟んでその下に2面幅を持った1枚の黒いワッシャがあります。

クドウブクミを交換する場合には、それらは全て新しいものを利用します。


最後にレンタル工具のプーリー抜きを使って上図の黒いゴム部分の外径に圧入されている洗濯槽を分離します。下図は半分くらい抜けてきたときの状態です。


洗濯槽を取ると外側の槽が現れます。水垢で汚れていたのをきれいにすると写真では新品のようです。


クドウブクミを取り外すために洗濯機ごと逆さまに置きます。先に落下保護のステーを固定している2本のボルトを取り、次にクドウブクミを洗濯槽に固定している13本のボルトを取ります。レンタル工具にTレンチがあったので奥深い13本のボルトを取るのに助かりました。


取り外したクドウブクミと新しいクドウブクミを並べ、見比べながらハーネスに保護テープを巻き、再利用するモータハーネスの移植を行います。クランプも同じにします。


洗濯機側とクドウブクミ側のハーネスは4つのコネクタで接続されていました。



組み立て

クドウブクミの固定は洗濯槽の樹脂部へのねじ止めです。あまり大きなトルクを使えないので13本にしているのだと思います。ネジを切ってしまっては修復不能になりますから、外すときの手感と同じトルク感覚で慎重に締めます。


洗濯槽をフランジナットで再度するのですが、どれだけ締め付ければ良いのかが分かりません。分解前にこの部分の写真を撮り忘れていましたし、ネットで探しても全くこの情報が出てきません。

フランジナットの締め付けも取り外しと同じくハンマリングで行うのですが、それなりにしっかり締めた状態で下図のようにフランジナットの半分ほどの掛かり代となりました。少ない気はするのですが、これ以上締めこむと壊れるような気もします。


一方、セレーション軸にワッシャを入れたとき、ワッシャがフランジナットより高くないとパルセータがフランジナットにあたり回転することができません。



【後日談】

このブログを書きながらネットを見て回っていたら、次のような写真を見つけました。同じ日立のビートウォッシュです。フランジナットよりも中のネジ軸が十分に出ています。交換に失敗した原因はこれかもしれません。これが原因で洗濯槽とパルセータの回転が拘束されて設計どおりに動かないので、コントローラは異常を判断して水を入れる処理まで進まなかった可能性があります。

ただし、パルセータも洗濯槽も手で回すと回りましたし、スタートスイッチONの直後は少し回りましたので、回転ができなくなっている状況ではなかったと思います。


引用元:洗濯機の異常音!(>_<)


引用元:日立洗濯機から異音!

柔軟剤の投入口も清掃

後部にはコントローラと給水弁の電気部品に囲まれて、柔軟剤の投入口があります。ここにも結構な汚れがついていたので、ネジを2本緩めて蓋を取りマスキングしたうえでブラシや綿棒できれいに汚れを取りました。



水が出ません

給水弁が動かない

全てを元どおりに組付けました。スイッチONでパルセータが少し回ります。が、その後、いくら待っても給水弁が動きません。作動音がしないので給水弁が動いていないのがわかります。洗濯の条件などを変えても、全く給水弁が動きません。動かないのですが、エラーコードは表示されませんでした。

給水ポンプを使うとOK

給水弁が動かないので、給水ポンプを使って洗濯槽に水をためてみました。すると、洗濯が始まりました。そのまま放置していたら、エラー 「F8」が出て止まっていました。洗濯の後のすすぎは給水弁を使う設定なので、この段階で止まってしまったのだと思います。

調べたら、エラー 「F8」はクドウブクミかコントローラの故障です。

脱水しない

洗濯やすすぎはなしにして、脱水だけする設定でスイッチONしても、脱水工程が始まりません。脱水だけではできないのかと思ってYoutubeを探すと、同じ機種で脱水だけでもできているので、これもおかしい点です。

導通などの電気系統チェック

簡単な回路図が洗濯機の後面に表示されていたので、これに添って給水弁まわりの電気系統をチェックします。

給水弁周りの導通

上図のように機器の端子間の導通確認をして、問題ありません。

給水弁のソレノイド

抵抗は実測877Ωで仕様が860Ωなので、問題ありません。


アンバランスSW

洗濯物の片寄りを検出しているスイッチ式のセンサーです。上蓋を持ち上げると、手前右側にレバーが見えます。仕組みを理解するために洗濯機から取り外して、単体で導通確認をしました。問題なしです。


コントローラ

コントローラの入っているケースを開けてみて、基板を見た瞬間に、ここに問題があるとは思えませんでした。しっかり、樹脂モールドされていて接触不良とか、ショートとかはまず考えられません。


給水弁に働く電圧

給水工程での給水弁に加わる電圧をモニターしてみました。図のように通常AC0.6V弱の電圧が加わっているようですが、スイッチONしてからしばらく観察していましたが、ずっとこの電圧でした。


色々試しているときに、一度だけ給水できたことがありました。そのときはAC100Vの電圧が加わっています。「直ったか!」と期待したのですが、一度きりでした。



スタートONでずっと放っておくと、「F8」エラーがでるようになりました。




原因は組付けミス(おそらく)

このブログを書きながら、38mmナットの締め込み位置が違った原因が何だったのか思いを巡らせていたのですが、あらためて下の写真を見て、その原因が分かりました。

上から、38mmナット、波ワッシャ、平ワッシャ、黒ワッシャとなっています。そして、平ワッシャと黒ワッシャの間は間隔があいています。これらは新品部品を使って組付けたのですが、洗濯槽の下がワッシャ2枚だと勘違いしていました。それで、平ワッシャを取らないでそのままにして、その上に洗濯槽をはめ込みました。そして波ワッシャを置き、38mmナットで締め付けました。これが間違いでした。


新しいワッシャ(ハンチング)を取らないでそのままにした(これが正常だと思っていた)ので、右下図のように洗濯槽が持ち上がった位置に組付けたことになります。おまけに古いワッシャ(赤)が洗濯槽に固着していたので、パルセータも本来位置よりも持ち上がって組付けています。
これらが原因で、どこかの干渉とか何かの位置検出異常が起きてECUが正常に作動しなかったことが原因と考えられます。


さらにあらためて読み返したら、購入したクドウブクミに添付されていた「交換手順書」には、こう書いてありました。よく読めば気づいたことだと後から反省です。

3. ハネを外すと38mのセンターナットが見えますのでそれに片口メガネレンチをかけ、端をハンマーで叩いて緩め外します。 回す方向 (緩める方向)は「反時計回りです」。 (時計回りは巷で言う逆ネジです) 

ナットを外すと波状のワッシャーが下にあります。 

その下にはガイド付きのワッシャーがあります。 

ドラム部を挟んで駆動部側にもう一枚ワッシャーがあります。 

ここでドラムをウニウニと端を交互に上下に動かし、軸部分がドラム接続部から抜けやすくします。 


新品のメリット

失敗したことを自分自身に納得させるため、新品洗濯機に買い換えたメリットを考えてみます。体感上は静かになったことです。洗濯機を置いてある部屋のドアを閉めると、脱水時にも動いていることが分かりません。

スペック比較をしてみると、7dB静かになって、消費電力も64%に下がるという結果です。デメリットは買い替え費用が7万円ほど上乗せになりました。

BW-G70HBW-8SV
種類全自動洗濯機全自動洗濯機
縦型(撹拌式)
洗濯容量7 kg8 kg
標準使用水量(洗濯時)95 L93 L
標準コース目安時間
(洗濯時/洗濯乾燥時)
39/- 分
開閉タイプ上開き上開き
ドラムのタイプ
乾燥容量
騒音レベル(洗濯時/脱水時/乾燥時)34/40/- dB39/- dB
日本製
消費電力
洗濯時消費電力(50/60Hz)160/160 W400/400 W
洗濯時消費電力量(50/60Hz)50/50 Wh78/78 Wh
コスト
電気代(目安)
洗濯時目安:1.4円(50Hz/60Hz)
1回あたりのコスト(目安)
洗濯時目安:26.4円(50Hz/60Hz)
水道代(目安)洗濯時目安:25円
サイズ・質量
本体幅53 cm
防水パンサイズ(内寸奥行)530 mm526 mm
幅x高さx奥行き577(530)×980×586608x1000x590 mm
質量32 kg


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