単安定マルチバイブレータ (74HC123, 74HC221, 74HC4538)の予習

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labelelement labelLTspice label発振器

アナログなワンショットパルス・マルチバイブレータに興味を持ったので、調べて内容を整理してみました。今日日、これを使うのは趣味領域だけのようです。3種類あって、それそれはwikiには下記のように説明されています。

マルチバイブレータは、スイッチングのオンオフでパルス信号を連続的に発生させる電子回路ICです。
◆ 非安定、無安定 (astable)
安定しない回路であり、2つの状態を常に行ったり来たりすることで発振する。発振回路
◆ 単安定 (monostable)
一方の状態は安定しているが、もう一方は安定しない。安定しない状態になっても、ある一定時間経過すると安定状態に戻る。何らかの外部イベントに対応して一定時間だけ信号を発するような用途で利用できる。ワンショットマルチバイブレータとも呼ぶ。チャタリング対策にもよく使われる。
◆ 双安定 (bistable)
どちらの状態も安定している。外部のイベントやトリガーによって一方の状態に切り替わる。レジスタや記憶装置の基本構成要素として、非常に重要な回路である。ラッチ・フリップフロップとも呼ぶ。

このなかから、まだ、入手可能な74シリーズの単安定マルチバイブレータを見てみます。そして、シミュレーションしてトリガとパルス発生の状況をグラフで見てみます。

74HCシリーズ

特徴

一般的なのは74HC123, 74HC221, 74HC4538 のようで、ChatGPTで比較を聞いて、気づいたおかしなところを修正したのが下表になります。(パルスの最大/最小/精度は未確認。まだ、間違いがあるかも知れません。)

デバイス74HC12374HC22174HC4538
機能モノスタブ
マルチバイブレータ
デュアル4ビット
非同期リトリガブルタイマ
デュアルモノスタブ
マルチバイブレータ
特徴ワンショットパルス生成器。
トリガーレベルによって
パルスを生成します。
2つの独立したタイマーが含
まれており、リトリガブルな
タイマー機能を提供します。
2つの独立したモノスタブマル
チバイブレータが含まれてお
り、トリガーレベルによって
パルスを生成します。
回路数22
リトリガするしないする
出力パルス幅の計算式T = R * CT = R * CT = 0.7 * (R * C) 
出力パルス幅の最大値約1秒約1秒約10秒
出力パルス幅の最小値約45ns約45ns約150ns
出力パルス幅の精度±5%程度±5%程度±2%程度
出力形式ポジティブパルスポジティブパルスポジティブまたは
ネガティブパルス

RSサイトの説明が分かりやすかったので載せておきます。

74HC123

高速CMOSロジック
動作電圧: 2 → 6 V
互換性: 入力CMOS、出力CMOS

74HC123、74HCT123は高速シリコンゲートCMOSデバイスで、ローパワーショットキーTTL (LSTTL)品とピン互換です。出力パルス幅を3方式で制御できる、再トリガ可能なデュアル単安定マルチバイブレータです。基本パルスは外付け抵抗(REXT)と外付けコンデンサ(CEXT)の選択を通じてプログラムします。トリガされたら、ゲートされたアクティブL遷移エッジ入力(nA)又はアクティブH遷移エッジ入力(nB)で再トリガすることで、基本出力パルス幅を延長できます。このプロセスを繰り返すことで、出力パルス期間(nQ = HIGH、nQ = LOW)をいくらでも長くできます。

シンプルな制御インターフェイス
パワーオンリセット
個別リセット入力付きのデュアルデバイス
立ち上がり又は立ち下がりエッジトリガ
CMOSによる低電力
主な用途
制御回路におけるタイミング遅延

74HC4538

デュアル、リトリガラブル、高精度単安定マルチバイブレータ: 74HC4538は、リトリガラブルかつリセット可能なデュアル単安定マルチバイブレータです。各マルチバイブレータは、トリガ / 再トリガ入力2個(nAとnB)、ダイレクトリセット入力(nCD)、補出力2個(nQとnQ)、外部タイミング部品CEXT及びREXTと接続するための2ピン(nREXT/CEXTとnCEXT)を備えています。使用温度範囲全体にわたる標準パルス幅の公差は±0.2 %です。入力パルスの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのどちらかでトリガできます。

立ち上がり時間や立ち下がり時間の遅いトリガに対応
個別のリセット入力
立ち上がり又は立ち下がりエッジでトリガ
JEDEC規格7 Aに準拠
CMOS入力レベル

真理表

74HC123と74HC211の違いは再トリガが可能か、不可かで、①~⑥のフーズでの動作は同じです。
74H4538はパルス出力するときのエッジ方向が逆で、⑤のフェーズがありません。



シミュレーション

真理表の各フェーズでの出力をシミュレーションしてみました。プロセスに振った番号と色づけを下記のグラフの色使いに合わせています。下から3本の波形がinput(A, B, Reset)信号で、上3本は赤色線74HC123出力、青色線74HC221出力、緑色線74HC4538出力 になります。

各フェーズでは、信号のエッジで出力パルスが発生する様子が分かります。

74HC123, 221にある⑤フェーズは前項の機能説明で「パワーオンリセット」となっているフェーズだと思うのですが、リセットを掛けるたびにリセットOFFでパルスが発生してしまう仕様です。
PCのリセットSWのように、これを意図するシステムなら良いのですが、通常はリセット後には何もしない動作の方が普通だと思うので、注意が必要です。


シミュレーションモデル

74HC123, 74HC221, 74HC4538のシンボルとライブラリは、LTwikiにある Bordodynov's Electronics web page のライブラリから持ってきて、所定のフォルダにおきました。

比較に使ったモデルは、下記のサイトで検索した2つの事例を組み合わせて作りました。真理表の動作を確認できました。

LTspice groups.io Group

LTspice groups.io Group

74HC123_221_Example.asc
74HC4538_Example.asc




まとめ

  • リセット後にパワーオンさせたいとき、74HC123か、74HC221
  • リセット後に何もさせないとき、74HC4538

  • トリガを繰り返すとパワーオン時間を延長できる、4HC123か、74HC4538


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