FY6900の使い方 VCO

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FeelTeck/FeelElecのFY6900-40Mhzを入手しました。Aliexpressのスーパーセールで2000円ほど安く買えました。手に入れて気持ちが盛り上がっているうちに、色々と使い方を調べています。わかったことを忘れないうちにBlogにすることにしました。

基本的な使い方

User’s Manualでは、素人には具体的な使い方が分かりませんでした。

機能は下記のBlogで紹介されているのですが、使い方までの説明はありません。波形を出すといった基本的な機能は直観的に操作すれば何とかなったのですが、変調機能とかVCOの使い方にはてこずりました。試行錯誤するうちにわかってきたので、忘れないようにBlogにすることにしました。
FeelTech FY6800 60MHz Signal Generator / Counter Review

FeelTech FY6800 60MHz Signal Generator / Counter Review

Covers everything but the rear connectors and the PC stuff …↓↓↓ Complete description, time index and links below ↓↓↓A while ago I found myself in need of a s...

波形


FY6900 Waveform List

FY6900 Waveform List

  1. Sine (正弦波)
  2. 正弦関数に従い、滑らかに周期的に振動する波形。最も基本的で滑らかな波形。
    用途: オシレーター、オーディオテスト、フィルタ応答の評価に利用。
  3. Square (方形波)
  4. 高速で0と最大値の間を行き来する、デューティ比50%の波形。デジタル信号に類似。
    用途: クロック信号、デジタル回路のシミュレーション。
  5. Rectangle (矩形波)
  6. 方形波と似ているが、デューティ比が50%でなく、オン時間とオフ時間が異なる波形。
    用途: PWM信号、制御回路に使用。
  7. Triangle/Ramp (三角波/ランプ波)
  8. 線形に増加し、頂点に達したら逆に線形に減少する波形。ランプ波は一方向にのみ上昇または下降します。
    用途: 音響テストやフィルタの特性評価。
  9. Rise Sawtooth (上昇鋸歯波)
  10. 緩やかに上昇し、急激に下降する鋸歯状波形。
    用途: 信号処理や音響生成に使用。
  11. Fall Sawtooth (下降鋸歯波)
  12. 急激に上昇し、緩やかに下降する鋸歯状波形。
    用途: 同様に信号処理や音響生成に使用。
  13. Lorenz Pulse (ローレンツパルス)
  14. 非常に急峻なパルス形状を持つ波形。
    用途: 特殊な物理実験やシミュレーションに利用されることが多い。
  15. Multitone (マルチトーン)
  16. 複数の周波数が同時に合成された波形。
    用途: 周波数応答のテストや、複雑な信号のシミュレーション。
  17. Noise (ノイズ波)
  18. ランダムな振幅変化を持つ波形。ホワイトノイズやピンクノイズとして利用。
    用途: 信号のロバスト性テスト、システムの過負荷評価。
  19. Electrocardiogram (ECG) (心電図波)
  20. 心電図の信号を模した波形。特定のピークと谷を持つ。
    用途: 医療機器のテスト、心臓機能のシミュレーション。
  21. Trapezoidal Pulse (台形パルス)
  22. 緩やかに立ち上がり、しばらく持続した後、緩やかに下降するパルス波形。
    用途: 信号処理やデジタル回路のテスト。
  23. Sinc Pulse (サインカーインパルス)
  24. Sinc関数に従い、中心部で高く、両端に向かって減衰するパルス波形。
    用途: 信号解析やフィルタ設計に使用。
  25. Narrow Pulse (ナローパルス)
  26. 非常に短い時間で変化するパルス波形。
    用途: 高速スイッチングやタイミングテスト。
  27. Gauss White Noise (ガウスホワイトノイズ)
  28. 正規分布に従ったランダムな波形。
    用途: 信号処理やノイズテストに使用。
  29. Step Triangle (ステップ三角波)
  30. 三角波が急激に変化する特性を持つ波形。
    用途: 特定の条件下での信号テスト。
  31. Positive Step (正のステップ)
  32. 突然の正の振幅にジャンプする波形。
    用途: ステップ応答のテスト。
  33. Inverse Step (逆ステップ)
  34. 突然の負の振幅にジャンプする波形。
    用途: システムの応答を調べるために使用。
  35. Positive Exponent (正の指数関数)
  36. 正の指数関数に従って上昇する波形。
    用途: システムの動作解析。
  37. Inverse Exponent (逆指数関数)
  38. 負の指数関数に従って下降する波形。
    用途: 信号の減衰評価。
  39. Positive Falling Exponent (正の減少指数)
  40. 緩やかに減少する正の指数波形。
    用途: 特定の信号減衰のテスト。
  41. Inverse Falling Exponent (逆減少指数)
  42. 急激に減少する負の指数波形。
    用途: システム応答の評価。
  43. Positive Logarithm (正の対数)
  44. 正の対数関数に従って上昇する波形。
    用途: 信号処理や特性評価。
  45. Inverse Logarithm (逆対数)
  46. 負の対数関数に従って下降する波形。
    用途: 信号の変化を観察するために使用。
  47. Positive Falling Logarithm (正の減少対数)
  48. 緩やかに減少する正の対数波形。
    用途: 信号解析やデータフィッティング。
  49. Inverse Falling Logarithm (逆減少対数)
  50. 急激に減少する負の対数波形。
    用途: システム動作評価。
  51. Pulse Wave (パルス波)
  52. 短い間隔で繰り返されるパルス。
    用途: 時間の経過とともに変化する信号のテスト。
  53. Integrated Pulse (積分パルス)
  54. 長時間持続するパルス。
    用途: 長時間の信号テスト。
  55. Multiple Waveform (マルチ波形)
  56. 複数の波形を組み合わせたもの。
    用途: 複雑な信号を生成するために使用。
  57. Custom Waveform (カスタム波形)
  58. 独自のパラメータを設定した波形。
    用途: 特定のニーズに合わせた信号生成。

VCO(電圧制御発振器)

電波を作る回路、”発振回路”のうち、加える電圧で発振周波数を制御する発振器を”電圧制御発振器”と呼びます。VCOはVoltage Controlled Oscillatorの略です。

マニアルの記載を拾い集めると、次のようになります。

  • VCO 機能 (電圧制御出力): 外部入力信号によって実現可能: 電圧制御周波数、電圧制御振幅、電圧制御オフセット、電圧制御デューティ サイクル、および PWM 変調
  • [SWEEP] VCO 電圧は、利用可能な信号出力のパラメーターを制御します (例: 電圧制御発振器)。
  • [VCO]
    • VCO機能を設定可能 
    • VCO電圧制御信号発生器の周波数、振幅、バイアス、デューティ 
    • VCOなどの各種パラメータの出力機能。
  • Back Panel ① VCO IN (BNC connector ): 外部信号スイープ入力端子により、電圧制御周波数、電圧制御振幅、電圧制御オフセット、電圧制御デューティサイクルなどを実現できます。 外部信号入力の周波数は500Hz以下にしてください。

  • VCO (電圧制御出力) スイープ
    • 機能命令: 外部スイープ (VCO) 機能により、外部電圧で信号出力を制御できます。 電圧制御周波数(VCF)、電圧制御振幅(VCA)、電圧制御オフセット、電圧制御デューティサイクルなどを実現できます。 
    • 操作方法: [SWEEP]ボタンを押してスイープ機能インターフェイスに入ります。 次に[F4 SOUR]ボタンを押してソースをVCO INに切り替えます。 掃引オブジェクト、開始、終了、掃引モードを設定した後、背面パネルの VCO IN 端子から外部信号を接続します。 次に、ADJ ノブ (OK ボタン) を押して、VCO スイープ機能を有効にします。 無効にするには、ADJ ノブ (OK ボタン) をもう一度押します。 
    • 注: 外部スイープ (VCO) の信号入力はバックパネルの VCO IN ポートから入力する必要があります。 周波数は 500 Hz 未満、電圧振幅は 0 ~ 5 V である必要があります。
  • 入力する変調信号範囲 0 ~ 5V 
  • VCO 信号周波数範囲 0 ~ 2000Hz 
  • VCO 制御対象 電圧制御周波数 (VCF)、電圧制御振幅 (VCA)、電圧制御オフセット、電圧制御デューティ サイクル。 
  • VCO 特殊機能 外部アナログ信号により振幅変調 (AM) または周波数変調 (FM) が可能です。

要約すると、
  1. FY6900のVCOは、外部信号をバックパネルの VCO-IN コネクタに入力して使います。
  2. 入力信号は、周波数は 500 Hz 未満(VCO 信号周波数範囲 0 ~ 2000Hzとの記載もあり)、電圧振幅は 0 ~ 5 V です。
  3. 周波数、振幅、オフセット、デューティが制御できます。

使い方

VCOの出力信号はCH1から出力されます。バックパネルのVCO端子へ入力する外部信号については、① 他の発振器 ② 定電圧電源のマニアル操作 ③ FY6900のCH2出力 のどれもOKでした。

入力電圧(0~5V)とObjectのスイープ幅は次の表になります。

Object
入力電圧 [V]
(入力振幅)
Freq
振幅
Ampl
振幅
Offs
オフセット
Duty
デューティ
開始時最小周波数最小電圧最小電圧最小比率
終了時最大周波数最大電圧最大電圧最大比率

例えば、Freq(周波数)をスイープさせたいとき、そのSTART(最小)周波数:100Hz、END(最大)周波数:1kHzに設定すると、外部信号の0~5Vの変化に対して、出力の周波数は 100~1kHz をスイープしながら遷移します。

リニアスイープの場合は、外部信号2.5Vならば、その時の出力は$100+\cfrac{1000-100}{5 } \times 2.5 = 550 [Hz]$になります。

事例1:0-5Vのランプ入力で出力周波数を制御する(オフセット0V);誤った方法

ここでは、③FY6900のCH2を外部信号にしたケースでの手順を説明します。まず、CH2信号をBack Panel のVCO-IN端子へ入力します。同時にオシロスコープでモニタします。





設定手順は、
  1. [CH1]キーを押し、CH1を有効にしてから、制御される基準信号を設定する。
  2. [CH2]キーを押し、CH2を有効にする。
  3. FUNCTIONキーから、[WAV]を選びランプ入力を設定する。(下図)
  4. FUNCTIONキーから、[VCO]を選びVCOのFreqを設定する。(下図)
  5. [OK]キーを押すと、VCOされた信号が[CH1]から出力される。

CH1で基準信号の周波数を1kHzとしていますが、これはVCOで設定した周波数が優先します。ただし、その他の項目(AMPLなど)はCH1の設定値が有効です。

ここで注意すべきことは、AMPLは波形の peak to peak であることです。上左図のように、AMPL:5.0V, OFFS : 0V に設定すると、電圧は0Vを中心に±2.5Vになります。一方、VCOの入力電圧は0~5Vが有効なので、-2.5~0Vまでは0Vとみなされます。


したがって、前述した外部信号の設定では、VCO波形は下図になります。

外部信号(2CH、水色)が -2.5~0Vの範囲では、START周波数の100Hzで一定のままです。そして、0~2.5Vの範囲では100Hzから550Hzにスイープしています。



事例2:0-5Vのランプ入力で出力周波数を制御する(オフセット2.5V);正しい方法

外部信号が正しく0~5Vとなるように、2.5Vのオフセットをつけたケースです。手順は事例1と同じです。
  1. [CH1]キーを押し、CH1を有効にしてから、制御される基準信号を設定する。
  2. [CH2]キーを押し、CH2を有効にする。
  3. FUNCTIONキーから、[WAV]を選びランプ入力を設定する。(下図)
  4. FUNCTIONキーから、[VCO]を選びVCOのOBJECT: Freqを設定する。(下図)
  5. [OK]キーを押すと、VCOされた信号が[CH1]に出力される。

CH1で基準信号の周波数を1kHzとしていますが、VCOで設定した周波数が優先します。ただし、その他の項目(AMPLなど)はCH1の設定値が有効です。

START周波数(実測158Hz)からEND周波数(実測893Hz)までスイープしています。




事例3:振幅2.5±2.5V(0-5V)のサイン波入力で出力振幅を制御する(オフセット2.5V)

外部信号が正しく0~5Vとなるように、2.5Vのオフセットをつけています。手順は事例2と同じです。
  1. [CH1]キーを押し、CH1を有効にしてから、制御される基準信号を設定する。
  2. [CH2]キーを押し、CH2を有効にする。
  3. FUNCTIONキーから、[WAV]を選びサイン波入力を設定する。(下図)
  4. FUNCTIONキーから、[VCO]を選びVCOのOBJECT: Amplを設定する。(下図)
  5. [OK]キーを押すと、VCOされた信号が[CH1]に出力される。

CH1で基準信号の周波数を1kHzとしていますので、出力の周波数はこの値が有効です。AMPLはVCOで設定した可変振幅が優先します。その他の項目(OFFSなど)はCH1の設定値が有効です。




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