アンプの周波数特性はミリバルとも言う交流電圧計で測るとのことで、自作熱が騒ぎこれを作ってみることにしました。
1.引用・参考ブログと仕様
勉強させていただいたブログは、
1.セッピーナの趣味の天文計算 交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方、一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 1など
2.迷走の果て・Tiny Objects 簡易交流電圧計の実験(1)など
3.六畳間の真空管アンプたち 1000円テスター用のミリボルトメーター・アダプタ、デジタルテスターをACミリボルトメーター化してみよう ~高確度Ver.~など
4.情熱の真空管 アナログ・テスターで作る簡易電子電圧計 Version1など
5.ほよほよのブログ ミリバルの実験
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5.ほよほよのブログ ミリバルの実験
基本はテスターのDCレンジで測定できるように交流信号を直流へ整流する。
ポイントは、
・テスターのDC電圧で読める。だから、mVレベルまで測れる。
・グランドに対する電圧として測れる。(グランドから浮いているものもできるが、使い勝手からすれば対グランド電圧が良いと思う。)
・入力インピーダンスをそれなりに大きくする。(目標:5MΩ~10MΩ)
・用途はオーディオ分野。
などかなぁと予備知識を整理しました。これが今回作るミリバルのコンセプトです。
活用面でのニーズがある訳ではないので、この程度が仕様です。
2.回路を理解するためのシミュレーション
参考3.の回路が対グランド電圧を測定するものなので、これをLTspiceで計算してみます。
この回路の左部分は、ダイオードの欠点をオペアンプで補う理想ダイオード回路というのだそうです。
参考3.には各パラメータについて下記のような説明があります。
前段は反転増幅回路を使った直線検波器で、2本の1S2076AをTL072の仕上がり利得のループに含めることによって1S2076Aの順方向電圧による整流電圧の降下(約0.6V)の影響をキャンセル、入力された正弦波電圧の平均値(実効値×2√2÷π)の2分の1の半波形電圧をR4へ出力します。例えば、ミリバルで表示されるAC1V(実効値)の正弦波を入力したとします。これの平均値は1×2√2÷3.1416=0.9Vですから、その半分の0.45V(反転増幅回路ですからR4のアタマにテスターをつなげばDC-0.45V表示)の直流成分がR4へ出力されます。後段は、出力された平均値を実効値に反転増幅変換する回路で、正弦波の平均値と実効値はπ÷2√2の関係(平均値を1.11072倍したものが実効値)にありますから、入力交流電圧の平均値の2分の1の直流電圧を入力と同じ実効値電圧に変換するには、後段で約2.22倍に増幅(R4対R5+R6=1対2.22)してやればいいことになります。
振幅 1.414V(実効値 1V ≒ 996mV) 1kHzの入力信号に対して、
R4の手前のV(n003)にで、平均値 -443mV。
反転増幅したOUT端では、993mV(まだ増加/収束の途中)が得られます。ここでシミュレーションのOUT値はグランドに対しての電圧になっています。
感覚的にわかりやすくするため、入力片振幅1Vp-pのとき、出力が1Vとなるように、
2.22 x 1.41 = 3.13 倍なので、R4、R5、R6は
(R5+R6)/ R4 = 31.3 kΩ /10 kΩ
としました。
LTspiceでの計算結果では、100kHzでのOUT DC出力は下記表のようになりました。
(同一条件で計算。計算開始後、1秒経過したときの値)
スルーレートの高いオペアンプが減衰しにくく周波数応答が良いのかもしれません。
ただ、これは1秒経過後の瞬間値です。DC出力は時間とともに増加し一定時間経つと所定値に収束するのでしょうから、立ち上がりの早さの違いが出ているということも考えられます。
もっとも、値が落ち着くまで待つというのは実用上ではありえないので、参考事例どおりTL072を使って進めます。