7 ローパスフィルタ(LPF)を入れてみた
7.1 参考にしたブログと同様のLPFを入れてみる
AD9833 Waveform GeneratorのLPFはカットオフ周波数が70MHzもあるのですが、そこまでは考えていません。そこで、迷走の果て・Tiny Objects AD9833 DDSモジュールを試す(9)(以下、参考例)のものを参考にさせていただきました。
迷走の果て・Tiny ObjectsでのLPF |
それでも、カットオフ周波数が10MHzを超えるRF帯域のものです。
私の想定している利用はオーディオ範疇なので、”宝の持ちくさっ..何とか”ですが、良いチャンスなのでしっかりとしたLPFについてもこの機会に挑戦してみようと思います。
手持ちの部品を利用して、参考例で紹介されているLCRと同様の特性を持つLPFを作ってみました。各パラメータは手持ちのインダクタ10uHに合わせてLTspiceでシミュレーションをして決定しました。
Filter7が参考例のブログで紹介されたもので、Filter8が私が作ったものです。
下に示す波形は、ローパスフィルタの効果を見るため、定期的に高周波ノイズが発生するときのスケッチを使ったものです。
オシロで見る限りでは、LPFの効果がわかりません。
更に気づいたこと
黄色のLPFなしと青のLPFありは、AD9833の出力[out]で二又に分岐しています。LPFありを有効にしたとき(outとLPFの回路を繋いだとき)と、無効にしたとき(回路を繋がないとき)で黄色LPFなしのp-p値が異なることに気づきました。繋ぐとp-pのレベルが下がります。
この現象はLPFを簡素な1次フィルタにしても同じでした。LPF回路の入力インピーダンス云々の影響かもしれません。
今回作ったLPFの特性を実測できている訳ではなく、また、上記のようなオシロでの波形比較がLPFの特性を評価するのに適切かは知識や経験がなく何とも言えません。ただ、この波形比較で見る限りは、高周波ノイズの除去の効果は疑問です。
この波形でも、所どころにみられるギザギザはLPFの有無で同程度だと思います。
7.2 LPFを再設計
ノイズ除去の効果は置いといて、LPFの設計を基礎的なところから一度やってみようと思います。設計計算はネットにある設計ツールを使います。
理論はさらっと読んで、ButterWorth特性が自然なので、これを使ってみます。急峻な減衰量は高次のフィルタにすることで確保します。
フィルターの設計は、RF Design Noteのバターワースフィルターを使いました。
カットオフ周波数 7MHz
減衰量 80dB @ 25MHz
で考えてみます。
25~50MHzの減衰量が参考例と同じくらいになるように考えました。
入出力インピーダンスは参考例に倣って200Ωとしました。
この設計条件では右の図より素子数7になります。条件を入力すると、下記の結果が一瞬で得られます。
各素子のパラメータは理想的な値なので、現実的な値に置き換えた特性シミュレーションの結果を下記に示します。
茶色がRFDオリジナル、ライムが3つのインダクター全てを10uHにしたもの、赤と青がL2,L6のインダクターを6.2uHにしたものです。
6.2uHは手巻きで作ってみたらこの値になったからです。コンデンサは使ったものの実測値です。
これより、赤特性のパラメータで作ることにしました。
L2, L6: 6.2uH
L4: 10uH
C1,C7: 49pF
C3,C5: 238pF