アース線工事をやってみた

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これも3年前の記録になります。

分電盤を交換し、ついでに雷用のブレーカも追加しました。分電盤はアースを集約するようになっています。我が家のアース状況は冷蔵庫、洗濯機、エアコンと別々にアース線が設けられていました。雷用のブレーカを設置しても、そこに家電からアース線が来ていなければ役に立ちません。なので、分散しているアース線は線を引き直してブレーカに集約しました。そして集約したアース線に見合う設置工事をしようと思った訳です。

もうずいぶん前に雷で家電がやられたことを思い出しました。近くに雷が2年立て続けに落ちたことがあり、その都度電話機が壊れました。それから数年後、今度はISDNのルータが雷で壊れました。どのケースも電話回線から雷が入ってきたものと考えられます。その後、電話は光に変わっていますので、そこから雷が来ることはないでしょうが、雷への防御はちゃんとしておこうと思っています。


法規

一般家庭のアース工事は「D種接地工事」が適用されます。これは、「電気設備の技術基準の解釈 (経済産業省)」第17条4項に記載されています。

D種接地工事は、次の各号によること。

接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。

二 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。

C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。

D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす。


(補足)接地とは、いろいろな設備、構造物を導体によって大地と電気的に接続することです。一般家庭では、「電気設備の事故によって感電事故や火災事故を防止するための保安用接地」が求められます。


<C種及びD種接地工事の接地線の太さ>
接地線の太さの算定基礎
内線規程_1350‐3表参照
(内線規程_資料_1-3-6参照)
接地する機械器具の金属製外箱、
配管などの低圧電炉の電源側に
施設される過電流遮器のうち最
小の定格電流の容量
一般の場合一般の場合
接地線の太さの計算式:A=0.052In
<凡例>
A:銅線の断面積[mm2]
In:過電流遮断器の定格電流[A]
銅(単線)銅(より線)A [mm2]
20A 以下1.6mm 以上2mm²以上1.04
30A 以下1.6mm 以上2mm²以上1.56
60A 以下2.0mm 以上3.5mm²以上3.12
100A 以下2.6mm 以上5.5mm²以上5.2


接地抵抗を測定

D種接地工事の接地抵抗が100Ω(条件付きで500Ω)ですが、どういった内容の工事をすればこの値の抵抗になるのか皆目見当がつきません。そこで、Googleで調べてみました。D種接地工事をDIYでやられている2,3の事例を拝見して、「1mの接地棒で100数十Ωくらい」の検討がつきました。ただし、土壌の質とか湿り気が影響するので、そのままの適用はできません。

接地抵抗計

測ってみなければ進みませんが、接地抵抗はテスターなどで測定できるものではなく、専用の「接地抵抗計」が必要です。これは新品は数万円もするので、個人が趣味で買えるものではありません。色々探し回っているうちに、某オークションサイトで横川3235というダイヤル式のものを本体だけですが安く手に入れることができました。リード線(赤/白の電線)と接地棒(鉄アンカー)はホームセンターで使えそうなものを調達しました。正規のセットだと、このタイプでも1~2万円します。




精度検定

マニアルに校正(検定)の方法が載っていたので、手持ちの抵抗とテスターを使って手に入れた接地抵抗計の精度検定をしてみました。方法と結果を次に示します。誤差±3%以内に収まっており、十分使える精度があります。




現状の接地抵抗

取扱説明書にある3極法で既設のアース棒の絶縁抵抗を測定してみます。接地棒間の距離ℓは10m開けました。


洗濯機用のアースの接地抵抗:170Ω
冷蔵庫用とガス湯沸かし器用のアースを並列につなげて:64Ω

新規にアース棒を埋め込む

1.5mアース棒

丸棒型にしようか、平板型にしようか悩んだのですが、接地面積が大きそうなので平板型にしました。

購入したアース棒は、日動電工 S形アース棒(長さ 1500mm、板厚 1.6mm、 リード線太さ 5.5mm2、表面処理銅めっき)です。100Ω以下を狙っています。(ネットで拝見すると、オーディオ好きの方々は10Ωを求めておられます。)

アース棒埋め込み

日動電工のHPを見ると、地面から75cmの深さから埋め込むようになっています。これはA,B種の接地工事へ適用されます。深く埋め込む理由は安全性であり、人が触れる可能性がある場所に接地工事を行うことがありますが、この時、特に危険性の高いA,B種接地工事においての内規です。D種には適用されません。

もしも何かあても人が触れないところにアース棒を埋め込むという考え方なので、埋め込み深さだけでなくリード線なども樹脂管などで覆うのだと思います。

45cmの穴を掘り、25cm埋め込みました。アース棒の打ち込み工具とかハンマーがないので、パイプの先端に石を縛り付けた原始的な道具をひたすら打ち付けた結果です。これより深い位置に埋め込むためには、延長棒のような道具がいります。


アース棒のリード線(5.5sq)とアース線(5.5sq)の結合にはリングスリーブ(中)で圧着します。5.5sqが2本ならリングスリーブ(中)ですが、5.5sqが3本ならリングスリーブ(大)を使います。

圧着箇所はビニールテープを巻いておきます。


接地抵抗

新しく打ち込んだアース棒の接地抵抗は100Ωを切って、87Ωでした。アース線は保護用のPF管を通しておきます。


さらに下げるため既設のアース棒と並列につなげた結果、36Ωになりました。最後に地中に埋め戻して完成です。

 

 

接地線

分電盤の入出する接地線のサイズは内線規程_1350‐3表参照(冒頭の表)に基づき、家電からの入力側Φ1.6単心線、アース棒への出力側5.5sqにします。




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